スパイにされたスパイ
Prodigal Spy,The
ジョゼフ・キャノン / 文藝春秋 / 2001/06/10
★★★
判断不能
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『ロス・アラモス 運命の閃光』(未読)でデビューした著者の第2作。
赤狩りの時期にソ連に亡命した国務省の高官を父を持つ息子が、長じてベトナム戦争の頃にチェコスロヴァキアに住む父親と再会し、真実を知るというスパイもの。1970年代の現在から1950年代の過去を振り返るという構造になっている。これは歴史観のパースペクティブを相対化するための効果的な手法ではある。
しかし残念なことに、訳者が『蒸発請負人』の人なのである。そのせいで、文章の味わいがどうこうという以前に、書かれている日本語の内容を疑いながら読み進めざるをえなかった。それはあまりに疲れることなので、途中からはストーリーを追うだけの流し読みに切り替えた。
そういうわけで判断不能。ストーリーは別に目新しいものではない。上に書いたように、50年代の赤狩りを、70年代の「リベラル」な観点から振り返るという行為を、(本書の執筆時期である)90年代から振り返るという重層的な構造になっているところがそこそこ興味深いとは思われるが、特に面白い視点があるわけではない。トリックはばればれ。
2001/6/21