偽善系
やつらはヘンだ!
日垣隆 / 文藝春秋 / 2000/09/10
★★★
熱いんだが
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戦後リベラルの言説を「偽善」と呼んで悪口を言う熱い本。この人の本を読むのはこれが初めてなのだが、「下調べのしっかりしている評論家」か「主張の強いジャーナリスト」のどちらか。たぶん本書はこの人の最良の著作ではないのだろう。ポテンシャルを感じはしたが、いまひとつぴんと来なかった。
なお、149ページに『十二人の怒れる男』がおかしいという主張があり、「半世紀間、誰もいわなかった」と書いているけれども、私も中学生のときにこの映画を初めて見たときから、これをおかしいと思っていた。そしてたしかに、これをおかしいと指摘している文章をいままでに目にしたことはない。ただ、現代的なリーガル・スリラーでは、陪審員が「正しい」判決にたどりつくという筋書き自体がとっくの昔に古臭くなっているということに注意する必要がある。
この例が典型なのだが、着眼点は悪くないとしても、もう一歩踏み込みが欲しいという感じの主張が多い。このような主張をしなくてはならなかったのは、「陪審制導入をめざす日本の法曹関係者は、必ずこの映画を引き合いに出す」からなのだが、これに対する正しい反応は、「法曹関係者は現代文学にくらい」というものだろう。ただ、一般受けを狙うために、わざとこういう表面的な議論にとどめるという戦略があるのかもしれないとは思った。
なお、続けて『偽善系II』を読んだ。
2001/6/28