死の準備
近藤誠、日垣隆、山田太一、吉本隆明 / 洋泉社 / 2001/07/21
★★
内容よりも形式が興味深い
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洋泉社の新書yの1冊。複数の人の「死」についてのエッセイを集めたもの。「雑誌」の形態に限りなく近く、内容そのものよりも形式が興味深い。執筆者は、山田太一(1934年)、清水眞砂子(1941年)、吉本隆明(1924年)、近藤誠(1948年)、西尾幹二(1936年)、森崎和江(1927年)、日垣隆(1958年)、小浜逸郎(1947年)、加地伸行(1936年)、定方晟(1936年)。括弧内は生年である。
吉本隆明(『超「20世紀論」』、『だいたいでいいじゃない。』、『私は臓器を提供しない』、『僕なら言うぞ!』、『私の「戦争論」』)の「死を迎える心の準備なんて果たしてあるのか」は、最近多い「本人の談話の構成」。正直いって、ここ数年間のこの人の活動は、それまでの10〜20年ほどと比べてずっと面白い。老いた明晰な人がこのように率直に語る言葉は、メディアにはあまり流通してこなかった。発言意欲と率直さを保っている吉本隆明が、たまたま依然として「アイドル」であるということが、このような文章の流通を可能にしたのだろう。あと、「長生きした者勝ち」というのを強く感じる。この人はそのキャリアの中で何人もの論敵を持ったが、みな死んでしまった。で、一人生き残った吉本が、老人性鬱病にかかっている自分について奔放に語る言葉に突っ込める人は誰もいなくなった。
近藤誠(『がん専門医よ、真実を語れ』、『私は臓器を提供しない』)の「私が〈がん〉に罹ったら」は、自分ががんにかかったときにどのように対処するかをシミュレートした文章。この人の他の著書に書かれている内容と重複する。まあ、このトピックに絞ったコンパクトな文章ということで有用ではある。
日垣隆(『偽善系』、『偽善系II』)の「子どもたちへ 死者は生き続ける」は、自分の子供たちに親として語りかけるという、ちょっと引いてしまうような趣向の文体なのだが、やはり熱く、元気がよい。
その他はいまいち。
2001/8/3