惑星学が解いた宇宙の謎
井田茂 / 洋泉社 / 2002/05/23
★★★★★
熱気の伝わる好著
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著者は惑星物理学を専門とする人。1990年代頃から、素粒子論的宇宙論の枠組みが完成に近づいたこともあって、惑星学がホットなトピックとなったという事情をわかりやすく解説する啓蒙書。著者の熱意と、時代の潮流に乗っている気持ちよさがストレートに伝わってくる好著だった。
著者によれば、この分野の日本のメディアでの扱われ方は欧米に比べて不十分で、実際にはエキサイティングな進展がたくさん起こっているのだという(もっとも、非常に多くの分野の人が似たことを言っている気はするのだが)。
本書を読んで改めて思ったのは、素粒子論的宇宙論に比べて、銀河とか太陽系とか惑星とかについての話は直感的にわかりやすいということ。使われている物理学が、手が届きやすそうに思えるということに加えて、普通のSFで扱われるスケールの話だということが大きいように思う。宇宙船が見知らぬ太陽系に近づくと、惑星がいくつか回っていて、そこに着陸すると地球に似た、あるいは似ていない生態系が広がっているというイメージは、SFの小説や映画でわれわれにはおなじみのものである。そういう太陽系あるいは惑星がどのように形成されるのか、そもそも地球型の惑星は普遍的なものなのかといった話題が扱われるのだから、日常とかけ離れた単位の時間や空間や温度が扱われる素粒子論的宇宙論よりもずっと親しみが湧きやすい。
宇宙論一般、太陽系の形成に関する理論、系外惑星の観測の進展、そして将来の見通しまで、幅広いトピックをコンパクトにまとめていて読みやすい。惑星学についての知識が1990年以前の段階にとどまっている人には、本書が知識をアップデートするいい機会になると思う。
2002/5/25