嘘の裏側
False Allegations
アンドリュー・ヴァックス / 早川書房 / 98/08/31
★★★★
安定しているが、マンネリか
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バーク・シリーズの第9作。例によって例のごとし。催眠療法によって幼児虐待などのエピソードの「偽の記憶」が生まれるというコンテンポラリーな(まあ少し古いともいえるが)問題を扱っているところが興味深い。ストーリーも変に凝っている。まあ安定した世界といえると思うけれども、マンネリという感もある。
しかし、少し前に、『不夜城』という、日本人の手によるバーク・シリーズの下手な模倣があったけれども、あれを読んだおかげでバークがいかに小説家として優れているのかを再確認した。実際のところ、こういう設定での小説をそつなく書くのは非常に難しいことなのだろう。主人公も、それを取り巻く登場人物もクセがありすぎて、身内意識ばりばり。これを嫌味の一歩手前に抑えるのは職人技なのだ。『不夜城』という小説は、そのバランス感覚こそがバーク・シリーズを読みうるものにしているものなのだということを完全に見落として書かれたものだったのに違いない。
しかし、そういう反面教師的なものを読んだという経緯がなければ、この『嘘の裏側』はちょっときつかったかもしれない。次のを読もうと思うかどうか少し不安だ。
巻末の長編リストから。★はバーク・シリーズ。
Flood 1985 『フラッド』★
Strega 1987 『赤毛のストレーガ』★
Blue Belle 1988 『ブルー・ベル』★
Hard Candy 1989 『ハード・キャンディ』★
Blossom 1990 『ブロッサム』★
Sacrifice 1991 『サクリファイス』★
Shella 1993 『凶手』
Down in the Zero 1994 『ゼロの誘い』★
Footsteps of the Hawk 1995 『鷹の羽音』★
Batman The Ultimate Evil 1995 『バットマン 究極の悪』
False Allegations 1996 『嘘の裏側』★
Safe House 1998 未訳★
1998/9/3