緊急招集
地下鉄サリン、救急医は見た
奥村徹 / 河出書房新社 / 99/02/15
★★★★★
力のこもった本
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著者は、地下鉄サリン事件の発生時に、聖路加国際病院救急部に勤めていた人。専門はショック病態生化学、臨床中毒学、院内感染学とのこと。
第一章では、地下鉄サリン事件の発生時の同病院の活動が描かれる。ここの部分の描写は迫力があって素晴らしいが、第二章では事件発生後の各機関の対応の事後分析、第三章では救急・災害医学一般の改善に向けた提案が書かれていて、驚くほどの力作である。医者の手によるこれほど充実した本は本当に珍しいと素直に感嘆した。特に第二章と第三章の突き放した分析と熱のこもった提案は感動的である。この提案も、過度な理想論ではなく、feasibilityもある程度考慮に入れた現実的なものだ。
のだが、こういう熱意が現実の壁にぶちあたって冷める、というのが、日本社会のこれまでの経緯であったわけだ。
1999/2/23