医者が末期がん患者になってわかったこと
ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々
岩田隆信 / 角川書店 / 99/06/25
★★★
まあ著者に同情しなくはないが
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著者は脳外科医だったが、1997年1月に悪性脳腫瘍が発病し、1998年12月に死去した。この本はその間に彼が書いた日記をもとに構成されている。
医者が病気になったときに、それまでとは違った世界が見えてくる、その発見を自分が死ぬ前に記録しておきたい、という素晴らしい意図のもとに作られた本であり、その意図には敬意を払わざるをえないのだが、彼が発見したことを読めば読むほど、ああこの人は病気になる前はほんとに何もわかっていなかったんだな、という感想を持ってしまう。で、いま生きている他の医者もこんな感じなんだろうな、と思うと、やっぱり困ってしまう。
あと痛切に感じたのは、この人は特権的な扱いを受けたということだ。自らが医者であるという特権を利用したことを強く非難するつもりはないんだけど、彼がそういう特権を利用し、そのことについて何の疑問も後悔の念も抱いていないらしいことをこの本から読み取ると、いやほんと日本の医療の世界は駄目なんだなぁとつくづく思うわけだ。
1999/8/29