皆殺し
Everybody Dies
ローレンス・ブロック / 二見書房 / 99/10/25
★★★★
けっこう良い
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マット・スカダー・シリーズ最新作。友人のミック・バルーを中心とする事件にスカダーが巻き込まれる。
このシリーズは、スカダーがアル中であることをやめたときから(つまりかなり前から)マンネリになった。最近は脇を固める登場人物たちが類型化して、スペンサー・シリーズのちょっとだけマシなやつといってもいいほどつまらなくなっていた。もちろん文章も翻訳もうまいから、読んでいて心地はいいのだけれども、衰退の一途をたどっているという印象は拭えない。
本書では、スカダーが語り手としての立場に退いているので、少し盛り返している。結局のところ、ハードボイルド小説の登場人物としては、スカダーよりもミック・バルーの方がまだ魅力的だということなのだ。相変わらず会話運びがテクニカルだが、スカダーとその周辺の人物たちとの会話は読んでいてうんざりするので、どうせなら『殺し屋』とか『盲目の予言者』など、シリーズものでないものを勧める。
このシリーズは、マット・スカダーが老人になって隠居し、純粋な語り手になれば、再び魅力を取り戻すような気がする。スカダーは隠居しているので、何の危機にも巻き込まれない。達観しているので、アイデンティティを揺るがされることもない。ひたすら他人の活躍を語る、と。
1999/11/22