レクサスとオリーブの木
グローバリゼーションの正体
Lexus and the Olive Tree, The
トーマス・フリードマン / 草思社 / 00/02/25
★★★
うまく書かれているが、内容に問題あり
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著者はニューヨーク・タイムズの記者。本書は、信者としての立場から、グローバリゼーションにどのような恩恵があるかを説いている本である。タイトルのレクサスはトヨタの高級車のことで、グローバリゼーションのシンボル。一方、オリーブの木は、おそらくは著者が専門とする中東情勢からの連想で、土地とか領土とか民族的アイデンティティとかに執着する立場を表している。
著者は、グローバリゼーションの恩恵を語った後に、申し訳ていどにその短所を語り、結論としてはレクサスとオリーブの木がうまく共存できるような世界が、正しいグローバリゼーションの姿なのだと述べているのだが、全体として恩恵を語っている部分が多く、またレクサスとオリーブの木の共存については、あまり根拠を示さないまま楽観的だ。この楽観的な姿勢からは、『市場対国家』を思い出した。
グローバリゼーションの恩恵を語る部分は、きわめて筆が滑らかで、よく書けている。啓蒙書として非常に優れていると思った。しかし、レクサスとオリーブの木が果たして共存可能なのか、そもそも両者が共存する状態とはどのようなものなのかといった点での突っ込みには大いに不満がある。特に、和洋折衷に熱心である日本国の住人としては、もうちょっとちゃんとした思索が欲しいと思わざるをえない。まあ、そういう思索の準備を固めるための本、というていどの位置づけか。
2000/4/16