I Hated, Hated, Hated This Movie
I Hated, Hated, Hated This Movie
Roger Ebert / Andrews McMeel Publishing / 00/01/01
★★★★★
たしかに面白い
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著者のRoger Ebertはまっとうな映画評論家だが、本書はダメな映画に関するレビューを集めた本。1970年代から1999年までの250本弱の映画が取り上げられている。今回は自分が見た映画のレビューだけに目を通したが、考えてみればこの本を手がかりに旧作を渉猟しても仕方がないので、今回読まなかったレビューは永遠に読まないことになりそうだ。
著者自ら前書きで書いていることだが、ダメな映画のダメなところを面白おかしく紹介するというタイプのレビューはあまり気持ち良いものではない。しかし、そういうアプローチ以外に、その映画のことについて文章を綴る方法がないというケースも少なくないと思われる。私は自分の映画メモでは、なるべくコンピュータ・マニュアルのレビューのような無味乾燥な文章を書くように心がけているつもりだが、どうしても誘惑に負けてしまうこともある。たとえば『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』の項では、悪役に幽閉された登場人物が、ポケットから信号発信型のGPSデバイスを取り出して味方に自分の位置を知らせるというプロットに言及したいという誘惑にどうしても逆らえなかった。
本書の記述の例として、『ファーザーズ・デイ』のレビューより(121ページ。訳は私が作ったもの)。
…[ロビン]ウィリアムズと[ビリー]クリスタルはかなりひどい。ロビン・ウィリアムズのタルい映画は、彼が声芸をしたり、さまざまな人物を演じ分けるという避けがたいシーンがあるかどうかによって確実に見分けられる。この映画には、息子に会うことになって緊張したウィリアムズが、鏡の前でいろんな役柄を試すシーンがある。これでもうわかった。ウィリアムズにこういうことができるということは、みんな知っている。すでに数十本の映画と数百のトークショーで見させられているのである。彼は、くだらない宴会芸を1つだけ知っていて、家族の集まりで毎回それを実演したがる間抜けなおじさんのような存在になりつつある……
あるいは、リメイク版の『サイコ』の締めの文章(289ページ)。
私は1週間前にヒッチコックの『サイコ』を見ていた。この新しいバージョンを見ながら、私はブロードウェイのキャストなしに最善を尽くそうとしている地方の劇団を見ているような奇妙な感覚に襲われた。有名なピアニストの前で演奏するために呼ばれた神童の話を思い出す。その子は椅子にはい上がり、ショパンの曲を素晴らしい速度と正確さで弾いた。演奏が終わると、偉大な音楽家はその子の頭をポンと叩き、こう言った。「君はたしかに音を出せるようだ。いつの日か、音楽を弾けるようになるかもしれないね」。
交通事故で死んだ父親が1年後に雪だるまになって帰ってくるという『ジャック・フロスト』の締めの文章(189ページ)。
やがて、スノーマンは再び去らなくてはならなくなる――「私はもう行かなくちゃならない……お前は自分の人生をしっかり生きろ」という安易なセリフとともに訪れるかなり唐突な展開である。この時点で、スノーマンの秘密は息子だけでなく、妻(ケリー・プレストン)にもバレている。彼女は亡き夫からの電話を、状況を考えれば冷静沈着の極みとしか言いようがない態度で受ける。最後には、人間の形をしたジャック・フロストがまがい物の雪の渦の中に実体化し、妻と息子に「必要になったら、私はいつでもここにいるからね」と言う。そしてチャーリーは「暑い日でも大丈夫なの?」と訊くことすらしないのである。
上に挙げた映画についての評価と着眼点にはまったく同感なのだが、そうでないレビューもある。『ザ・グリード』、『フラッド』、『U.M.A.レイク・プラシッド』、『ベリー・バッド・ウェディング』など。ただし『ベリー・バッド・ウェディング』については、問題含みの映画なので著者がこれを嫌っているのは仕方がなく、レビューの内容は納得できるものだった。
全体として大笑いできる良質の映画評論。実際に電車の中で読んでいて笑いを堪えることができなかった。なお、『Mike Nelson's Movie Megacheese』の項も参照。
2001/1/6