陰謀のセオリー
Conspiracy Theory
Richard Donner / Mel Gibson,Julia Roberts,Patrick Stewart / 1997
★★★
けっこう掘り出し物。他に見るものがなければ見ても損にはならないかも
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メル・ギブソンが誇大妄想狂を演じる、リチャード・ドナー監督作品。
ドナー+ギブソンだから最悪のものを覚悟したのだが、これが予想を裏切って結構いい映画だった。ドナーとしては、1985年の『レディーホーク』以来の快作ではなかろうか。
ありとあらゆる陰謀説に取り憑かれているタクシー運転手のメル・ギブソンは、司法省に勤めている(しかし何の仕事をしているのか不明な)ジュリア・ロバーツにまとわりつく。やがて、その理由が明らかになり、二人は徐々に心を通い合わせるようになっていくというそこらあたりの描写はきわめて説得力に欠けるのだが、この映画の気が狂っているメル・ギブソンは珍しいほどの「名演技」と言っていいと思う。『リーサル・ウェポン』シリーズだけでなく、『マーヴェリック』などでも組んでいるドナーとギブソンの間の信頼関係が、このような役柄を作り出したのだとすれば、それらの映画も無駄にはなっていなかったということになるのか。
深夜にタクシーをジュリア・ロバーツの家の前に停めて、彼女が運動をする姿を窃視するときの狂おしさは、彼女に対する一方的な、しかし根拠の不明な愛情というその後に展開するテーマを十分に支えるだけの力を持っていたように思う。ドナーの映画に一ヶ所でもそういうのがあるだけで何か珍しい宝石を見つけたような喜びがある。
1999/10/16